2003年(底本2001年)刊。佐々淳行氏解説にあるように憂鬱な気分になる読後感。ただし、その理由はリアルすぎる内容にある。中国残留孤児帰国事業が密航の隠れ蓑と化している現実がある一方、日本に居住する正当な帰国孤児家族に対する偏見・差別もえぐり出す。その意味で、バランスがとれており好印象。加えて、本書は広範な領域、つまり経済犯罪、戦後補償、治安、外国人移民受入れの是非・程度、中国の貧困問題のみならず、犯罪シンジケートに軽く手を貸す日本人の心性や経済の成長政策の当否まで目配せを効かせる良リポートである。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2017年1月19日
- 読了日 : 2017年1月19日
- 本棚登録日 : 2017年1月19日
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