サブプライム後に何が起きているのか (宝島社新書 270)

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  • 宝島社 (2008年4月9日発売)
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2008年刊。サブプライム問題の要因、事後の問題点と現況の解説がなされる。極めて良心的な解説・啓蒙書と思われる。そもそもサブプライム問題は、バブル現象としては特殊ではない。かつて日本が経験したそれのみならず、ブラックマンデー等とほとんど変わらない。むしろ、特殊性は、レバレッジを可能にした証券化技術のため被害が一気に巨大化したという点にあるのだ。本書はこの証券化技術・レバレッジ投資の問題を正しく指摘。「レバレッジは、面白いように利益を増やす…しかし、物事が…反対に動いた時の破壊力もすさまじい」と。
その上で、日本のレバレッジ取引の典型たるFX(外国為替証拠金(保証金)取引)の問題も同様と喝破するのだ。さて、本書によれば、現況のアメリカを支援しているのが国富ファンド(中近東イスラムの石油マネーと中国マネー。誕生は米国貿易赤字継続の産物)である。緊急避難時はともかく、米国がこれらに依存し続けるとは、政治的には想定しにくい。この点は、著者は過小評価していないだろうか?
検討課題。①ドル・キャリートレード、②イスラム金融。利息禁止・利用料や割賦販売手数料を実質利息と見る方法論。③企業融資から消費者へのシフト。情報の非対称性のため有利な取引が可能。④格付け機関(唯一の情報源。AAA)とモノライン保証会社(保証契約締結)による拡販。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月16日
読了日 : 2017年1月16日
本棚登録日 : 2017年1月16日

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