カンビュセス王の秘宝 上 (角川文庫 サ 1-1)

  • KADOKAWA (2003年2月1日発売)
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感想 : 1
5

カンビュセス王とは古代エジプトの末期王朝時代の中頃、紀元前525年に、エジプトを征服して第27王朝を築いた、アケメネス朝ペルシアの王の事で、彼はエジプト全土を支配下においたが、西方砂漠でアモニア人が激しく抵抗して帰順しない為、これを討つべく、テーベから征討軍を派遣。
けれど、その軍勢が、国境まであと半分と言う所で突如として南から来襲した強烈な砂嵐に巻き込まれ、全員砂に埋もれて全滅。
その正確な場所がわからない為に、永遠に砂漠の下に眠ったままなのである。
もし彼らを発見すれば、ツタンカーメン以上の、重要な、考古学史上最大の発見になると言われている。
この小説では、その発見に至るプロセスを中心にして、主人公の女性タラの愛と冒険を描き、この騒動に伴う幾つかの殺人事件と原理主義者の関わりによって必然的に巻きこまれていくハリファ警部の、過去からの兄弟の愛憎劇とが相俟って、非常に面白く読ませるお話だった。
タイトルからして、インデョージョンズ並の冒険活劇かなぁ〜って思わせるお話だけれど、実際はもっと奥行きの深い、読みでのある本だった。
最初は、謎の殺人事件から、カンビュセスの消えた軍団と財宝の在り処を示す墓探しから始まり、財宝を狙っているのが活動の資金目当ての原理主義者だけでなく、英大使館も怪しい存在で、主人公は危険にさらされ、ハリファ警部の独自の捜査と生立ちがそこに混ざってきて、一体どうなっていくんだろうと、ハラハラドキドキさせられる。
上下巻と話は長いんだけど、濃い内容とスピード感は飽きさせずに読ませてくれて、久しぶりにとても面白い本に出会えた感じ。
後半の途中までは、大体予想通りの展開だったけれど、後半は
驚きの連続だった。
それと、原理主義者であるサイフ・アッラーの、「狂うほどに怒っている」と言った、彼らの怒りの叫び声が胸にとても響いた。古代遺跡発掘ロマン、冒険活劇、ミステリー、愛憎劇、そういった色々なジャンルが包括された、読ませてくれる大作って感じかな。
後半の大どんでん返しは、まさに意表をつかれたって感じでした。
オススメで〜す(^^)

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 世界史・小説
感想投稿日 : 2006年6月4日
本棚登録日 : 2006年6月4日

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