子どもたちは夜と遊ぶ (下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2008年5月15日発売)
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本棚登録 : 9627
感想 : 849
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辻村深月さんの本は、読めば読むほど感動する。本来なら、人を、しかも自分のまわりの人たちの大切な先輩や友人を殺してしまった浅葱は許されないし、憎まれるはずなんだけど、多分読者は浅葱を一番愛しく感じると思う。私もそう。
クールで何にも動じない表の姿。だけど本当は淋しくて、狂おしいくらい月子が好き。幼い頃に虐待をされて、ずっと救われたいと願い続けてきた。
彼自身の見る自分、周りの友人から見る浅葱。それから、月子が見守る彼。さまざまなフィルターから見える姿を知るたび、どんどんやりきれなくなった。愛しいな、という気持ちと切ないな、という気持ち。
いつか月子と浅葱が寄り添いあえる日が来たらいいのに。
女同士の友情も、リアル。
紫乃との歪んでいたようで、でも求めあっていた関係や、真紀ちゃんとの思いやりをもちあった関係。
言葉にしたくないリアルな感情がこれでもかというほど描かれている。
だけど、温かい人の気持ちを、温かいと描く以上に伝えてくる。
辻村深月さん、この人は本当にすごい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年12月2日
読了日 : 2012年12月2日
本棚登録日 : 2012年12月2日

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