失礼ながら、ハーレクインは少女マンガを大人向けにしただけの小説だと思っていました。
なので少女マンガ同様、ハーレクインも決して手に取ることのなかったジャンルなのですが、今回献本としていただきましたので読みましたが、これはこれでアリでした。
この一冊に限って言えば、少女マンガというよりも重厚に練られたライトノベルに近いファンタジー作品です。
過去に凄惨な事件に巻き込まれたルーとヴァンパイアのショーンとの恋「ダンサー・イン・ザ・ダーク」
最初は冷たい印象しかなかったショーンがダンスレッスンを重ねるにつれてルーを知りたいとの欲求を高めていったり、情熱的な一面をみせますが短編だけあってどうしてそこまでルーに固執するのかという端折られてしまった部分に疑問が出てきます。素顔が綺麗だからだでしょうかね? 見目が良いと認めているようなので、結局外見なんでしょうか。
『彼女の短い人生すべてが、まるで自分のものみたいに』
こういう行動を自然ととる理由はショーンの中にしかなくて、ヴァンパイアであるショーンの心の内は誰にも分かる必要はないからと、作者はあえて描写は控えたってことでしょうか。
謎です。
あまり長々と書くとネタバレをしてしまいそうですが、影のあったルーがショーンという甘えられる相手が見つかったことでシリーズになっている「トゥルーブラッド」の7巻か8巻にチョロッと登場しているようですね。機会があれば小説とドラマの両方を手にとってみたいと思える作品でした。
個人的にダンサーの方が好きだったので、そちらメインの感想になってますが『漆黒の君主』もつまらなくはないですが米国的といいますか、なんかどこかで映像化でもされていそうな印象が拭えません。娘が美貌の王子と悪の父親を倒すというお題目自体古くさい気がしてしまうのが、なんとも……。
一番の見せ場がすぐに終わってしまうし、なんだか全体を通して消化不良でした。短編には向かないテーマでした。中編としてジックリ書いた方がもっと、万人受けが狙えるような。
と、いうのも見せ場にたどり着くまでにページを使いすぎて、後半は駆け足的なエンドは酷い。兎にも角にも夢見がちなファンタジーといった感じで、私はちょっと苦手でした。
マイナス評価の理由は邦題とカバーイラスト。
なんでこの邦題にしたのでしょうか。
この作家さんのイラストは素敵だと思いますけど、登場人物の誰でもない、関係ないイラストってどうなのよ、というね。
- 感想投稿日 : 2015年1月23日
- 読了日 : 2015年1月23日
- 本棚登録日 : 2015年1月22日
みんなの感想をみる