石原莞爾という人を少々誤解していたようだ。
本書を読むと至極まっとうな正論を主張している人だ。あの時代にこんなことを言っていたとはにわかに信じられないくらいだ。今時の自称右翼の人たちに読んで欲しいと思った。
日本が負けたのは民主主義でなかったからだと述べている。そして敗戦後は国防にお金をかけなくてよいのですぐに復興できると言っている。全くその通り時代は流れた。
ペリーが戦犯だと言っている。日本はペリーに開国を迫られ、開国してみたら列強は酷い侵略主義者たちで、その真似をしたら戦犯扱いされた。それはその通りだ。それで侵略が正当化されるわけではないが、アメリカに日本を裁く権利などないだろう。また、原爆を投下し空襲で非戦闘員の大量虐殺をしたトルーマンも戦犯だというが、それもまたその通りだ。
また、東條とは違って戦域の拡大は望まず、現実的な線での東亜の平和というのを望んでいた節がある。満州なんてカオスな状況だったから、何が正しい選択だったかなんて誰にも言えないと思うが、それなりに現実的な道を考えていたようだ。
もし東條ではなく石原が軍または政治の中核にいたら、日本のみならず世界の歴史は大きく変わっていたかもしれない。アジア地域は緩やかな独立の道を進んだかもしれないし、朝鮮戦争もなかったかもしれない。中国の進む道ももっと違ったかもしれない。歴史のifの話だが。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2013年6月2日
- 読了日 : 2013年6月2日
- 本棚登録日 : 2013年6月2日
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