日本の神話・伝説を読む: 声から文字へ (岩波新書 新赤版 1078)

著者 :
  • 岩波書店 (2007年6月20日発売)
3.24
  • (1)
  • (5)
  • (13)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 105
感想 : 16

古代の音節は88種もあったということにただただ驚き。元が口承なのに同音異字の書き分けが多いなぁと思ってはいたけど、そういう背景があったからできたことだったのか。
ざっくりまとめとしては、以下のような感じ。

-----

古代の神話・伝説
・思想的なまとめの欠如
→誰が何をした、いつどのようなことがあった、のみを淡々と語る
・一つの語がもつ音韻から類似の音韻をもつ別語への連想
・登場者のもつ名と話の内容との対応
・内容的に逆転したかたちの話の対応 など



中世以降の説話
・外国の説話からの影響
→思想的なまとめの付与
・話の展開やその内容がもつ奇抜さやひねり
→すじ立てのおもしろさ

-----

丁寧に解説されていたので、古代の神話・伝説の連想関係については、口承文学ならではのものだったんだな、というのがとてもよくわかった。
連想関係の事例として登場したなかでは、「すがる」という語の連想、蛇と刀と雷の連想関係やなんかの話は勾玉三部作好きとしてはやっぱりとてもテンションがあがってしまった。というか、あがった結果、また読み返したくなった(いつものパターン)。

あと、以前に古事記の置目伝説の部分を読んだ時に、兄弟の名前が紛らわしいなぁと思っていたのだけれども、それについて古代は「o」と「wo」がはっきり別物だと区別されていたんだよ、という説明があったので納得がいった。他の話についてもそんな感じ。

現代もやっぱり昔に比べて神様や天皇への畏敬が薄れて〜、という話をきいたりはするけれども、終章で最後に出て来た中世以降の説話の時点で既に古代に比べると神の霊威も天皇の威厳・権威も見受けられないという話は興味深かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年10月9日
読了日 : 2016年11月27日
本棚登録日 : 2018年10月9日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする