人と猫との出逢いによって、心の隙間を埋めてくれる模様が描かれた短編集です。
小説だけでなく、イラストレーターのげみさんが描くイラストが全てカラーとなっているので、想像しやすくなり、幻想的な雰囲気にさせてくれました。
約100ページの量で、値段は税抜きで1500円。高っと思いましたが、全編カラーのイラスト付きとして考えると、妥当なのかなと自分に言い聞かせて購入しました。
げみさんの作品は初めて?だと思いますが、色彩が鮮やかで心を暖かくさせてくれます。また、明と暗の描き方が立体的に浮かび上がるかのような表現であり、幻想的でした。
他の作品も見てみたい気持ちにもなりました。
と思って検索してみると、知っている作品も。
「崩れる脳を抱きしめて」
「桜風堂ものがたり」
「優しい死神の飼い方」
などなど「あー、あれか」と思うものばかりで改めて幻想的な描写に感銘を受けました。
小説に着目すると、短編からちょっと中編のものまで全4編入っています。子どもにも読めるよう、難しい字はひらがな表記にしています。生活の1シーンを切り取った話ですが、ファンタジーのような作風に仕上がっているので、現実なんだけれども、現実とは違うような不思議な感覚がありました。
子ども向けですが、「死」に関する出来事も含まれていて、攻めているといいましょうか、包み隠さず描いています。でも、イラストや文章の力で、暗い気持ちにはならず、温かいオーラを纏ってくれるので、穏やかな優しい気持ちになれました。
二人ともとても猫を愛しているという雰囲気が、文章やイラストから伝わりました。猫の他愛ない仕草の表現、可愛らしい猫のイラストが、読者の心を燻ってくれるので、猫好きにはたまらないかと思いました。
- 感想投稿日 : 2020年11月19日
- 読了日 : 2020年11月18日
- 本棚登録日 : 2020年11月18日
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