図説 ローマ帝国衰亡史

  • 東京書籍 (2004年7月1日発売)
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感想 : 8
5

ギボンのローマ帝国衰亡史に図説が入り、非常にわかりやすくなっています。

この図説が本書の第一の大きな特徴です。第二に、訳者あとがきに代えてで「ローマ理念」がありますが、これが非常に面白いです。優れた仕組みには優れた理念が必ずあるんだなあと感心しました。

本書を読みながら、僕は、ローマの衰亡をとらえる変数として以下の項目があるのかなと思いました。
・継承:皇帝の皇位継承プロセス
・軍隊:皇帝の軍隊統治方法
・元老院:皇帝の元老院との関係
・宗教:皇帝の宗教(特にキリスト教)政策
まず、4つが非常に重要だと思いました。
ついで、
・外交政策:領土拡大方針やいわゆる蛮族の王との関係含め
・多民族政策:奴隷の扱い含め誰をローマ市民と定義し、誰をローマ市民としないのか?
・規律:ローマ市民のモラル(勤勉さ・倹約さ)にどう取り組んだのか?
あたりを変数に各皇帝の治世を眺めると面白いとおもいました。そこらへんを含めローマ帝国の内側と外側をどう考えたのかが、ポイントなんですかね。

そして、この言葉が特に深いです。この言葉からどこまでイメージがわき、この言葉を自分の組織にどう活かせるかですね。
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ローマの衰退は、その並外れた巨大さがもたらす自然にして不可避の結果であった。繁栄が衰退の原理を熟させた。征服の拡大とともに、破滅の原因が増殖した。そして時が、あるいは偶然が、人為的な支柱を取り除くや否や、巨大な構造物はそれ自身の重みによって圧し潰されたのである。その没落の物語は単純にして明快である。そして、ローマ帝国が何故に滅びたかを問う代わりに、われわれはむしろ、それがかくも長く存在したことに驚きの目を瞠るべきであろう。
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2014年3月2日
読了日 : 2014年3月2日
本棚登録日 : 2014年3月2日

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