音楽の知識がゼロでも読み物としてなぜか楽しめてしまう一冊。わたしはピアノも弾けないし、学生時代の音楽鑑賞会で寝てしまうような音楽好きからしたら怒られるような存在です。そんな自分でもボリューミーな本書を楽しむことができました。それはおそらく、村上春樹さんならではの読ませるテンポのおかげかもと思っています。村上さんは本書の中で、文章も音楽も素晴らしいものには魅せるテンポなど共通点があるようなことを話されています。そして、わたしは本書を小澤征爾さんが指揮されるオーケストラを聴きながら読みましたが、不思議なことに、全く眠くなりませんでした。わたしが大人になったのか、素晴らしいものは眠くならないのか。
とにかく、クラシック音楽に造詣がある方が読んだらもっと楽しめるんだろうなと思います。
■一体どういう曲なのだろうと興味が湧く
クラシック音楽の知識がゼロです。そんな自分でも、どういう曲なのか読んでいるうちに興味が湧き、youtubeで探しました。特にページ数をかけて語られていた、マーラーについては明日からも聞いていきたいと思わされました。
■楽しむ音楽のジャンルが違うだけかもしれない
村上春樹さんは、いつの公演といつの公演がどうとか、同じ曲を違う指揮者が振るとどうとかそういうレベルのお話をされます。そしてその曲ができた背景や時代も考察して音楽を楽しまれており、クラシック音楽をハイレベルで楽しめる方の感覚に圧倒されます。
ところで、わたしはクラシックの知識はありませんが、似たような感覚を思い出しました。薄っぺらい話ですが、アイドルの公演の比較です。確かに、あの時の公演の歌はとか、同じ曲でも違うメンバーとかカバーだとどうとか比較して見がちなんですよね。バンドとか歌手でもそういう感想ってあると思います。音楽の楽しみ方の根本って意外と共通しているのかもしれません。
■本書を読む前に
特にクラシックファンではない方は、
ボクの音楽武者修行/小澤征爾 は必読です。
わたしは事前に読んでいたので、少し前提知識があったので本書を読みきれたかもしれません。こちらは音楽談義よりも、小澤征爾さんの26歳くらいまでの人生を振り返ったエッセイという感じです。
感想:https://booklog.jp/users/rocobooks/archives/1/4101228019
- 感想投稿日 : 2024年4月5日
- 読了日 : 2024年4月5日
- 本棚登録日 : 2024年4月5日
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