先日Amazonプライムで映画を観て、原作も読みたくなった。
映画と同じように、主人公のオーガストの視点と、彼を取り巻く人達からの視点で物語が進む。
映画では描ききれなかった、個々の細かなエピソードも書かれていて、より深く「ワンダー」の登場人物の人となりに触れることができる。
もちろん、最後は涙が止められず…。
最終章で、オギー(オーガストの愛称)が、トゥッシュマン校長先生と話す場面があるのだが、「ハリーポッターと賢者の石」でダンブルドア校長とハリーが話す場面が思い出された。
終業式での校長先生のスピーチもグッとくる。
こういう人が、学校のトップだったらなぁ…と、物事はそう単純ではないと分かっていながら、今のコロナ禍の状況もあり、色々考えてしまう。
また、巻末のトム・ブラウン先生の国語の生徒による格言集も必見。
作者へのインタビューで、R.J.パラシオさんは、
ご自身の二人のお子さんが小さかった頃、近所のアイスクリーム屋さんを訪れた際、女の子が2人(1人は頭部骨格障がいがある)母親と来ていたのだが、パラシオさんの下の子が、その障がいのある子の顔を見て泣き出したため、女の子を傷つけないように、ベビーカーを慌てて遠ざけようとした。その後、その母親は子ども達に「そろそろ行かなくちゃね」と優しく穏やかに言って席を立った…。
その時の自分の行動を、親としてどうしたら良かったのか…という思いがずっとあった。後に、その時すべきだったのは、ベビーカーを遠ざけるのではなく、その親子に話しかけることだったのだ、と気づいたのだが、この時の経験が、この物語を書くきっかけになったと語っている。
因みにこのエピソードは、物語の中にも出てくる。
また、親子関係について、
「わたしに言わせれば、我が子がもう聞きたくないとする素振りを見せている時がもっともあなたを必要としている時なのです。わたしが思うに、親はみな本心では、いじめられているよその子を見て、自分の子じゃなくてよかった、と胸をなでおろしているのです。しかし、親はそうしたものの考えをやめなければなりません。親は、それが難しいことであるがゆえに、わが子に対して、優しく、善い行いをしなければならないと言って聞かせなければならないのです。」(いずれも、ほるぷ出版ホームページより抜粋)とも語っている。
ああ、本当にその通り。
自分事として、もう一歩、踏み込まないといけない。
2020.5.10
- 感想投稿日 : 2020年5月10日
- 読了日 : 2020年5月10日
- 本棚登録日 : 2020年5月10日
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