横道世之介

著者 :
  • 毎日新聞社 (2009年9月16日発売)
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感想 : 670
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色々な方のレビューを読んで、市民図書館に単行本があったので借りてみた。

あ~懐かしきバブル期。
おそらく私と世之介は、ほぼ同学年。
私自身は地味な学生だったので、世之介のようにバイトなどでバブルを実感したことはなかったが、通学経路にボディコンやジュリ扇を売っている店があったのを覚えている。
浮かれた世の中の流れに上手く乗っかりながらも、自分を変えずマイペースで「いい感じ」なままのところが世之介の魅力。

そんな世之介が、どこに接点が?というようなお嬢様の祥子と付き合うようになるのだが、彼女もまた天然な強引さが面白い。夏休みに世之介の実家である長崎の港町へ押しかけ、そこで出くわしたの事件が祥子を大きく変えることとなる。

後年40代になった祥子が、学生時代の友人で娘を持つ睦美に対して抱く思いが綴られた箇所にぐっと来た。

大切に育てるということは「大切なもの」を与えてやるのではなく、その「大切なもの」を失った時にどうやってそれを乗り越えるか、その強さを教えてやることなのではないかと思う。p364祥子の言葉

母親として、自分がまだ学べていない…。

子どもの友人に、世之介に似た子がいるのだが、その「いい感じ」変わらないでほしいなぁ…と思う。
2020.9.5

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 913日本の小説
感想投稿日 : 2020年10月8日
読了日 : 2020年9月5日
本棚登録日 : 2020年8月31日

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