悪意の手記

著者 :
  • 新潮社 (2005年8月30日発売)
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本棚登録 : 363
感想 : 70
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難病・自殺・殺人・贖罪〜15歳で難病TTP(紫斑病)に罹患した僕は死の恐怖から世界が壊れてしまえば良いとさえ考えるようになった。悪化して意識を失い,目覚めると難病は克服していたのだが,世界や他人が違うように見える。復学しても違和感は否めず,公園での首吊り自殺を実行しようと出掛けると,そこに親友のKがいて,このまま大人になっていくのはつまらないと云うので,自殺前にKを池に突き落として殺してしまった。首吊りは失敗し,Kの母親だけに疑われながら高校を卒業して,地方の大学に入学した。少年の凶悪犯罪はなぜ多発するかというゼミの議論で武彦と親しくなり,悪事を気にせず実行する武彦に引きずられていく。睡眠薬を呑んでの自殺は,僕を気に掛けてくれている女の子によって救われてしまった。大学を中退し,バイトで入った喫茶店の女主人が,自分の娘を殺した少年が退院してきたら殺してやろうとしている計画に僕は関わり,いざ実行しようとすると,相手の少年は幼い少女に手を出そうとする現場に直面し,女の子を救うことに切り替えてしまうが,少年は別の母親によって刺し殺されてしまう。僕はK殺しの犯人として自首する〜絶望・・・しか見えないのかと思ったら,最後に光明がさすのだねえ。途中までドロドロしていたのが,少しずつ澄んでくるような感じ。ドロドロが長いけど。土の中の子供に先行する作品

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2007年9月10日
読了日 : 2007年9月10日
本棚登録日 : 2007年9月10日

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