親友を亡くした女性の右足の親指がある日突然ペニスになってしまう物語の下巻。
セックス見世物一座の巡業に同行することとなった主人公と恋人である盲目の音楽家。しかし、心身ともに相性がいいと思われた恋人との破局が突然訪れます。途方にくれる彼女に気のいい仲間たちが声をかけてくれ、次第に癒されていきますが…。
同性愛、四角関係、性に何らかの奇形があるために心に傷を抱える人々、そしてクライマックスともなる女性をさげすむ極度の男根主義者の脚本家が主催する劇団…。
主人公は「ふつうの」セックスと思い込んでいたものが、社会や環境に刷り込まれた先入観であったことに気づき、自分の願望をはっきりもつようになります。四角関係に陥っても、「どちらも好き」という態度を崩さない彼女に、優柔不断よりも強い意志が感じられ、とてもたくましく好感がもてました(読んでいてハラハラしましたが(笑))。彼女に釣られるように成長していく周囲の人々も応援したくなります。
あらゆる影響を排除して自分自身に立ち返っていく過程を「修業」と題しているのが興味深いです。とくに現代のような情報化社会では、無意識にいろんな先入観に毒されやすいので、私たちがこの本に共感するところも多いと思います。
自分らしく生きる勇気を与えてくれる感動的な物語でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年5月14日
- 読了日 : 2014年5月14日
- 本棚登録日 : 2014年4月18日
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