今現在の、世界中の社会に立ち現れた悪意が起こした事件の様相を紐解きながら、悪とはそもそも何か、私たちは悪に対してどう抗って行けるのか、悪に負けないための共生という考え方などを説いています。
新書版であり、エッセンスだけを本書に込めたとのことですが、厚み以上の濃い内容です。
「人は大きな虚無に捕らえられたとき、自分であれ、他人であれ、死への刃を振るいたくなるのでしょうか。」
この一文を読んだ時ぶるっと震えが来ました。
「空っぽ」の中に悪が巣くう。言い得ていると思いました。
これまでの「力」シリーズのように、多くの世界や日本の文学が引用されています。純文学(一部ですが)へのブックガイドとも読めます。
著者のおっしゃるように、悪の連鎖がいつか人間的な連鎖へ全て変わっていく希望は持ち続けて生きたいものです。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
倫理学、道徳
- 感想投稿日 : 2015年12月14日
- 読了日 : 2015年12月14日
- 本棚登録日 : 2015年12月14日
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