剣鬼・岡田以蔵 (徳間文庫 み 7-35)

著者 :
  • 徳間書店 (2001年11月1日発売)
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感想 : 2
5

時代小説特有の質の高い虚構を活かしながら、以蔵の生涯を追った重厚な小説。以蔵を扱った小説の中でも、女性関係が多岐に渡って描かれている点が特徴的でもある。そうした点が苦手な方は注意されたし。

「武士ではない」という言葉が繰り返し使用されるように、自身が足軽であることを認め、武士になりたがらない以蔵がそこにはいる。武士になりたがる人々の間に位置づけられる、武士になりたがらない以蔵こそが、武士の無い社会――身分差が無い社会という、もっと先の世の中を目指していたのだ。
また、以蔵は武市を恨むはずがなかったというのが作者の見解であり、武市も以蔵を恨まない。しかし、恨みといった激しい感情こそ現れてはいないものの、作品の中には一貫して哀しみが流れているようにも感じられる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 幕末全般
感想投稿日 : 2010年7月14日
読了日 : 2010年7月17日
本棚登録日 : 2010年7月14日

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