忌野清志郎が、レコーディングやライブや、なんかの収録とかで日本各地世界各地に行った話。友人やバンド・音楽繋がりの仲間たちとの事をなんやかや語った、みたいな、そんなエッセイ。
元々は昭和62年(1987年)に音楽之友社から単行本で出版されていたモノが、加筆修正を加えて平成5年(1993年)に新潮文庫化されたものみたいです。この連載作品自体は、リアルタイムでは、週刊FM、っていう雑誌に連載されてたみたいですね。キヨシローが、バリバリにRCサクセション時代の内容みたいですので、えらく昔の話だなあ!って感じなのですが、すっごい面白いです。
まあ、キヨシローの語り口が、お見事なんですよね。読んでて、ウキウキしてきちゃうんですよ。歌が凄いのは勿論。稀代のミュージシャンでありバンドマンであったキヨシローですからそら当然、って感じですが、著書ですらこんなに面白いんですから、やっぱスゲエなあキヨシローったら、ってシミジミ思いますね。
ぶっとんでるなあ、って思ったのは、あとがきで、キヨシロー自身が「この本は、俺がしゃべったことをゴーストライターが文章化したものなんです」って、いっさい悪びれずに思いっきり暴露しているところ。それ言っていいんかい!?という衝撃。たまき、という人が、文章化していたみたいですね。キヨシローの音楽事務所のスタッフの方なんでしょうかね?凄いよなあ。
この時代の文章の流行?というか形式?だったんだなあ、って思うのは、文章内に、やたらとカタカナ表現が多い事。パッとアトランダムに開いたページを見ただけでも
ツッぱって、突っ張って?
ものスゴく、もの凄く?
カワイかったぜ、可愛かったぜ?
良く食べるヤツ、良く食べる奴?
ロコツな質問、露骨な質問?
ヘンなヤツ、変な奴?
というくらいに、カタカナ表記が、凄く多いんですよ。そういう時代だったんだなあ、って思いますね。時代の変化とともに、文章表記の表現って、絶対変わりますものね。面白いなあ、って思いながら、読んでおりました。
あと、キヨシローの色んな絵が載ってます。1コラムにつき、1イラストがセットだったみたいです。この絵が、味があって、凄く良いんですよ。あとがきによると、この連載を頼まれた時にイラストもセットで書かねばいけない契約だったみたいなんですが、この連載のおかげで、絵を描く楽しみにバンバン目覚めた、みたいな事をキヨシローが言ってました。
ということは、キヨシローの、絵への思いを見事に活性化させた、という意味で、この連載の、社会への、キヨシローファンの方々への貢献度は、めちゃくちゃデカいんでは?と思いますね。素晴らしい事ですよ。
あと、作家の角田光代の後書きが、素晴らしく良いです。キヨシローについて語らせたら、角田さんの文章は、最高に素晴らしいと思いますね。こんなに愛情あふれる他者紹介文を書くことのできる角田さんは、マジ凄い。そしてそれを書かせる原動力になった忌野清志郎という人間力の凄さよ。感動しますね全く。
- 感想投稿日 : 2020年5月10日
- 読了日 : 2020年5月10日
- 本棚登録日 : 2020年5月10日
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