町田康さんの、禁酒本?断酒本?というか、一見はそんな体なのですが、なかなかに深いような、案外そーでもないような、不可思議な町田ワールドが展開される一冊ですね。
何故人は酒を飲むのか?という洞察は、面白いです。
酒を飲む。ということは、自分の望まぬことに従事させられた、失われた自分を取り戻す、プラスの行為である。と考える。
でも、それってホンマにそうなの?みたいな事を考えたり、
飲酒とはなんぞや?から、人間存在とはなんぞや?という謎の深いテーマを町田さん流に思案していくこの思考の流れ、ああ、毎度毎度、おもろいなあ。町田さん、追求するよね~、とか思いつつ読んでましたね。
あと、お酒を止めた町田さんの最終的な感想が、
「いやあ、お酒やめた方が、なんだか頭と体のキレがいいんだよね~」
っていう、超即物的なあたりまえの結論だった、ってのも、フツーにおもろい。ま、そのフツーの事に達するまでの、町田さんの思考、思索の流れが、やっぱ出色やなあ~ってね、思う。そんな一冊でしたね。
で、これは完全に単なる偶然なのですが、自分も、相当な酒好きなのですが、たまたまこの本を読み始める前後から、なんとなくですが、お酒を飲むのをほぼ、止めてます。断固飲まない!わけではなくて、たまたま、飲みに行く機会がほぼ無くなって、んで、自宅飲みも、まあ、止めてみるかな?と思って止めてみたら、想像以上にお酒が無い生活でも、全然問題ないじゃん、って感じになってまして。
ま、自分の場合は、町田さんみたいに完璧にお酒を止めるには至らないと思うんですが、あんだけお酒が好きだったのに、飲まないなら飲まないで、こんなに平気なんだなあ~。ってのが分かっただけでも、おもろいもんだなあ、って思ってますね。ホンマに、この本を読んだのと、自分の断酒が重なったのは、ホンマに偶然なんですけどね。
そんな事も、非常になんというか、興味深い一冊でした。
- 感想投稿日 : 2021年8月12日
- 読了日 : 2021年8月12日
- 本棚登録日 : 2021年8月12日
みんなの感想をみる