命に三つの鐘が鳴る Wの悲劇'75

著者 :
  • 光文社 (2011年5月19日発売)
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本棚登録 : 180
感想 : 40
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天帝の準レギュラー二条警視正がまだ新人の頃の物語。
極左過激派が活発に活動する時代が舞台。極左活動家であるかつての友人が、二条のもとに、恋人を殺したと自首してくる。その恋人とは、二条のかつての恋人でもあった。時間制限がある中で、彼の殺人の動機を探るべく二条たちは奔走するが、その動機は二重三重に隠されている。そして、二条は自分自身が、秘密の鍵を握ることに気づいていく。
これまで、フーダニットにこだわってきた作者が挑む、伏線と論理を巧みに使った上質のホワイダニット。そして、取調室の心理的攻防を丁寧に描いたスリリングな警察小説でもある。
物語と文章の美しさは相変わらず。まだ若い二条さんの信念・心情を茶化すことなく描き、またパズルよりも物語性を重視したまほろ作品の中でも異色の作品。こんな作品も書けるのかと思うと、まほろの今後の可能性にますます期待してしまう。傑作。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年7月29日
読了日 : 2012年7月29日
本棚登録日 : 2011年11月3日

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