政治活動入門

著者 :
  • 百万年書房 (2021年3月6日発売)
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感想 : 8

《とくに重要なのは、政治運動は善意よりもむしろ悪意でやるものだということです。》(p.222)

《最初から「自分なりに考えてみる」よりも、まずは自分に近い立場でものを書いていそうな他の誰かの文章を読み、それに対して別の誰かが書いた批判の文章を読み、またそれに対する反論の文章を読み……という勉強をする方が、ずっと良いのです。その過程で、自分の中に、互いに矛盾する、しかもどちらもそれなりに筋が通っていると思える複数の立場が同居するような状態になるでしょう。実は、そうなった時に初めて、本当に「自分なりに考えてみる」ことが可能になるのです。》(p.11)

《学問や芸術というのは本来、政治活動をやらずに「あえて」選択する道なのです。現在、学問や芸術の道に進もうという人たちにはこの「あえて」性が欠片もありません。「あえて」性のない学問や芸術に、存在意味はありません。》(p.19)

《“68年”を経た70年代以降、“あらゆる問題を統括して一手に引き受ける前衛党”を中心に持たない、さまざまの“個別課題”を独自に追求する大小無数の団体や個人が何となくグラデーションをなして連帯しているような、していないような、“曖昧な全体”がそれ自体として革命運動の現在である、というふうな認識が世界的な“常識”となります。》(p.117-118)

《“68年”以後は、個別課題の解決を散文的に追求する「小さな物語」がそれぞれに紡がれ、革命はただその総体として何となくある、あるいは“総体”などという発想をすること自体がナンセンスであると見なされるのです。》(p.118)

《現に自分たちが集結し、団結し、一つの運動を共に担っているということ自体に第一の価値を見出す思想がファシズムなのです。》(p.169)

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感想投稿日 : 2021年8月29日
読了日 : 2021年8月29日
本棚登録日 : 2021年8月28日

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