ストーリーとミステリが綺麗に融合しており、読み物としてはとても面白かったです。
問題提起もはっきりしていて、ミステリ部分がそれを邪魔することなく、むしろより浮き彫りにしてくるあたりストーリーテラーとしての才能が垣間見えます。
しかし僕はあくまでミステリとしてこの本を読み始めたため、そこまで高評価とはいきませんでした。
「暗闇で任意の人物を殺すことができるか」という謎への推論は正統な手順を踏んでいてよくできていますし、真相へと導くロジックも綺麗です。
しかし、どうもこじんまりしすぎている印象を受けます。手堅く纏めようとするあまり、事件のインパクトが皆無になってしまっているのです。
ミステリとしてみた場合これは結構致命的なことでしょう。
作品テーマに沿うなら、最後のひっくり返しは不可欠なのでしょうが、効果的に決まっているとは言えません。
ですが、小説としてよくできていることは確かなので、ミステリをエッセンスとした良い話が読みたい人にオススメしたい一冊です。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年1月24日
- 読了日 : 2015年1月22日
- 本棚登録日 : 2015年1月22日
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