虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社 (2015年2月5日発売)
3.53
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本棚登録 : 264
感想 : 40
4

前作「◯◯◯◯◯◯◯◯殺人事件」で鮮烈デビューし、真価の問われることとなった受賞第1作は短編集です。
前作の売り(?)でもあった下ネタが全編に渡って推理の手がかりになっており、どうやら早坂吝はこの道で行くようです。
各短編の内容はどうかと言うと、おっぱいコピーの謎、ラブホで起きた殺人、密室で殺された変態教祖、倒述形式で語られるストーカーの顛末、ヤリチン野郎の悲劇、とエロ方向に偏っていながらもバラエティに富んだ短編集となっています。
中でも変態教祖の事件を扱った「青は海とマニキュアの色」は、とある仕掛けに呆然。脱力しながらも読み進めると、展開される推理はとことん論理的でそのギャップに苦笑するしかありませんでした。(褒めてますよ)
そして、最後には連作としての仕掛けが明かされます。作品として何か仕掛けがあるのは明らかなのですが、読者が思い浮かぶであろう可能性をことごとく潰していく論理展開は圧巻です。流れに身を任せて振り回されるしかないでしょう。
読者の期待値が高かった本作でしたが、真価を十二分に発揮したと言っていい良作です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年2月6日
読了日 : 2015年2月5日
本棚登録日 : 2015年2月5日

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