<露>
本書の前に読んだのが今敏先生の『防諜捜査』だった。そちらもロシアに深く関係する物語だった。ウオトカをショットグラスでそのままグイと飲むところなんかはどっちにも頻繁に出てきた。別に露西亜関連の小説を狙って読んだわけではない。たまたまそうなっただけである。
今作も始まってすぐの超迫力殺戮シーンで読者のココロをグイと掴んでしまう。良いですねぇ実に良いですね。
こういうシリーズ物はたいがいは第一作が一番面白くてその後少しずつ面白さは減っていく傾向にあると思うのだけど,この作品は違う。回を重ねる毎にドンドンと面白さが増してゆく。
前回,会話文の後にしばしば入るその会話内容の長い説明など省いて,もっとテンポ良く会話を進めた方が良い,ひいては作品全体をもっと短くシンプルにすればもっと売れる。みたいなことを生意気にも僕は書いていた。でも今作を読んでそれが間違いであった事に気づいた。著者月村良衛の作品はとても読むのに時間が掛かる,ところが良いのだ。
簡単にスラスラ読み終わる嬉しさを味わうのとは全く異なった心地よさがある。すまなかった。前に書いた『自爆条項』感想文の前言撤回である。すまぬ。
要するに面白さが短くすぐに終わってしまうか,長く続くかの違いだ。巷では前者を早漏と云い後者を遅漏という。丁度良いのは何と云うのだろう。的漏か? あっ何を書いてるんだ僕は。管理者の方もしモラルに欠ける様ならここ消してください。って,誰も読んでないし。ぐふふ。すまぬ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年12月29日
- 読了日 : 2021年12月29日
- 本棚登録日 : 2021年12月12日
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