「輝ける人と輝けない人、その差は一体なんなのだろう。ずっとそのことばかり考えていた私でしたが、この小説を書くうちに、気持ちが吹っ切れたのです。
そう、誰かに選んでもらうのが人生ではない。
光を浴びたければ、自らがスポットライトの前に走っていけば良いのです。」と…、
ステージの上で、無数のフラッシュを浴びて悠然と微笑みながら話すのは、
小説バルス新人賞授賞式の、有森樹李。
この作品の主人公です。
この主人公がすごく面白いのです。
この主人公の突き抜けたキャラクターに、やられました。
人気と実力のある作家さん、柚木麻子さんが、
身も蓋もなく作家と本の世界の暗黒面を描いた作品。
格調高い出版界と、一見優雅そうな作家の生活の裏側を、覗きみたい人には、格好のお奨め。
馬力ある作家が本気で
ふざけるとこんな快作(怪作?)が、出来上がるという、見本のような一冊である…
と石田衣良さんが、巻末で解説されていました傑作です。
朝井リョウさんはじめ実在する作家さんも、登場人物で登場し、なんだか、読みながらニヤニヤしてしまいました。
なんといっても、主人公が他人を蹴落とすとか、妬み嫉みで、復讐するとかの気持ちを、学生時代に培った演劇部の腕を生かし「執念とハッタリ」で、行動するところは、ただ、ただ楽しいところでした。
決して実際には良い人だとは言えないやりすぎなクセがスゴい人だとは思いましたが、
なぜか、憎めないキャラクターで、描かれていています。
悪い感情である妬みとか嫉みとかも、あけすけに正直にしゃべり、とんでもない行動をしているところも、びっくりさせられました。
実際にこの本を、映画化したとしたら、主人公はおもいっきり演技出来て、やっていても楽しいだろうなあと思います。映画化されたら、どの女優さんが合うかしら…。
最後に、なってしまいましたが、
この本はアールグレイさんからのおすすめ本でした。
図書館で、予約待ちをしてやっと手に取ることができました。
ここのところ重いテーマの、眉根を寄せての読書が多かったのですが、
明るく、興味深く、テンポよく爽快な作品でした。
ありがとうございました。
- 感想投稿日 : 2022年9月9日
- 読了日 : 2022年9月29日
- 本棚登録日 : 2022年8月27日
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