独裁者のデザイン : ヒトラー、ムッソリーニ、スターリン、毛沢東の手法 (河出文庫)

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  • 河出書房新社 (2022年6月4日発売)
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美術の知識も入れつつ独裁者のデザイン手法を「目」をテーマに解説。イギリスやアメリカの手法も紹介されている。
ファシズムとしては教養豊かなムッソリーニの方が先鞭をつけているが各所からいいとこどりして最大限に自分の強みを見せたヒトラーは元が画家志望としてもセンスに長けていた事が伺える。宣伝大臣のゲッペルスがいかに有能でも最終決定者がヒトラーなのだから。その点スターリンは猜疑心が強すぎたせいかデザイン方面も固いように感じた。
個人的にインパクトがあったのは毛沢東。この4人の中で長命を保ったが善意か気まぐれか分からぬ空回りで人民が大量餓死しているのにポスターでは彼が食糧を受け取るというブラックユーモア。天安門のかの肖像を自分の顔と差し替えたアーティストの勇気(蛮勇)も忘れ難い。文化大革命での極端な焚書で国民の知能を下げてでも天安門の肖像画は取り下げられないしやはり偉大な人物なのかもしれない。
続編として他の独裁者のデザインも取り上げて貰えたら嬉しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年3月9日
読了日 : 2024年3月5日
本棚登録日 : 2024年3月5日

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