呪いの時代

著者 :
  • 新潮社 (2011年11月1日発売)
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感想 : 154
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仕事以外の理由でインターネットを使用する頻度が高いわけではないのだけれども、それでも時々、とんでもない批判の応酬合戦みたいになっているサイトに出会うことがある。相手の全てを否定しつくす勢いで論が展開するのを読むのは、自分には関係のないことであったとしても、後味の悪いものだと思う。
内田樹は、それは議論ではなく「呪い」である、と説明している。
なるほど、と思う。何らかの結論を出すために「議論」をしているわけではなく、ただひたすら相手を否定しつくす呪詛の言葉を吐いているだけである、と考えれば、そういうものか、と思う。
なぜそうするのか。それが楽だから。知的な議論はエネルギーが必要だけれども、呪詛の言葉(というか、否定の仕方は一見理論的な形をとる。定型的な批判の仕方もある)を吐くには定型的な批判の仕方だけを覚えておけば、知的なリソースを使う必要がないから、かつ、効果的に相手を否定することが出来るから。
ということなのだろうけれども、そういう場所には近づきたくないね、と思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2011年2nd Half
感想投稿日 : 2011年12月20日
読了日 : 2011年12月20日
本棚登録日 : 2011年12月20日

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