ブラッド・ミュージック (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (1987年3月10日発売)
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本棚登録 : 55
感想 : 4

基本的にはウラムという生物工学者が知的細胞《ヌーサイト》をつくり、それがパンデミックになり、群知性を発揮してアメリカ大陸に粘菌コンピュウータのようにはびこり、消えていくという話である。そこに、ヨーロッパに脱出した神経科学者バーナード、ニューヨークで生き残ったスージー、そしてウラムの母、エイプリルなどの人生がからんでくるという話。

人類がヌーサイトの群体に記憶されて情報存在となるから、これが人類の新たな段階で、《幼年期の終わり》との類似点が指摘されるのだけれど、はたして〝ブラッド・ミュージック〟に同化していくという段階こそが、何か現実を受け入れたくない〝幼年期〟のような気がしてならない。

脳は内と外とのずれによって「現実」を認識していく。内側の観測視点だけで宇宙が変化するとは思えない。人類が生まれる以前にも物理法則はあったであろうから。

訳はよみにくい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2023年8月28日
読了日 : 2023年8月28日
本棚登録日 : 2023年8月28日

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