クローム襲撃 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (2016年3月31日発売)
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本棚登録 : 103
感想 : 3

前編、なんか殺伐としたアメリカ人がでてくる話。サイバーパンク。つまり、コンピュータ用語を駆使するSFで、倫理なきアウトローたちの生活が書かれている。基本的に「記憶屋ジョニー」と「クローム襲撃」でいいんじゃないかな。これが分かりやすい。

「記憶屋ジョニー」は小脳にシリコンチップを埋め込んだ主人公がさまざまな情報を預かる商売をしているのだが、ヤクザの企業恐喝情報を預かってしまい、命を狙われる羽目になり、指からよく切れるブレードがでるように肉体改造をしたミラーグラスの女モリーや、生物兵器だった麻薬漬けイルカに助けられる話。

「クローム襲撃」はシステムをハッキング攻撃して、相手を文無しにする電脳カウボーイ(ハッカー)のボビー・クワインと、技術屋ジャック・オートマティクの話。ボビーもジャックもリッキーという女に気がある。ハッキングの標的は催眠売春をしている「青い灯火の店」がどこかに上納する資金を洗浄するシステム「クローム」。ジャッキーが手に入れたソ連製軍用ハッキング・プログラムで破壊する。リッキーは疑似体験メディアの業界(=芸能界)に入るために、青い目の義眼を買い、千葉シティに旅立つ。

そのほか
「ニューローズ・ホテル」:バイオテク企業の研究員を女をつかって誘拐した企業スパイがカプセルホテルの廃墟に追い詰められて、回想を語る。
「赤い星、冬の軌道」:スターリングとの共作、旧ソがつくった宇宙ステーション、コスモグラードでくらす「火星第一の男」コロリョフが、コスモグラードが廃棄されることになり、仲間とストをやったりする話。全編むさくるしい。
「冬のマーケット」:生来の障がいで外骨格をつかっている生活している女の子が、ヴァーチャル世界で芸能界(みたいなもの)でデビューする話。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2021年10月25日
読了日 : 2021年10月25日
本棚登録日 : 2021年10月25日

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