(上下2冊読んでの感想です)
上下二巻、質量ともに大作である。
ふたつの時間が交錯していく。夫の投身自殺を調べる女性の物語と、その捜査の鍵を握る50年前の事件を題材にした小説。その交錯が、平行世界のイメージで語られていくので最初は取っつきにくかった。この作者独特の、一種時代がかった描写のせいもあるのだけど。
幻想小説とも思えるような不思議な出来事の数々が、本格ミステリとして解決していくのはなかなか鮮やかである。まるで島田荘司のようだ。残念ながらひとつひとつの謎の解決はちょっとこぢんまりしているような気がするけれど、作品の後半にある推理合戦は、趣向が秀逸でおもしろかった。
2005/10/25
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本の小説
- 感想投稿日 : 2010年8月28日
- 読了日 : 2005年10月25日
- 本棚登録日 : 2005年10月25日
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