口の立つやつが勝つってことでいいのか

著者 :
  • 青土社 (2024年2月14日発売)
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感想 : 17

著者名とタイトルで購入即決。
表題のエッセイを巻頭にしたエッセイ集で、日本経済新聞夕刊コラム「プロムナード」(2021年下半期)にnoteでの執筆と単発のいくつかの文章を合わせて構成されている。

文学アンソロジーなどを出している著者が、もともとは活字を読むのがそれほど好きなわけではないというのは意外で軽く驚いたが、だからこそ読むのが好きじゃない人でも読めるような工夫に余念がなくいつも読みやすい本を出せているのだろう。
子ども時代は「口の立つやつ」の側だった、というのもまたやや意外だったが、口で負かしてしまえてた子ども時代の居心地の悪さを忘れず、青年時代に病を得て「言語化」のむずかしさや至らなさを体感したというので、あれこれ説得力がある。
読み終えて、カート・ヴォネガットを読みたくなった。
「違和感を抱いている人に聞け!」では、池内紀の「二列目の人生」を思い出した。

表題の件については、少し前から子どもにつきあって「ちいかわ」を読んでいて、心に思うことはいろいろありそうなのに言葉がなかなかでない「ちいかわ」にいちばん親近感を感じているのだけれど、家族のだれにも共感してもらえなかったのが最近の残念なことだったので(ちなみに家族の好きなキャラは、見事にバラバラで、それはそれで興味深い)、やはり「言語化ができない」ことへの理解を得るのはなかなかむずかしそうだと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2024年3月2日
読了日 : 2024年3月27日
本棚登録日 : 2024年3月1日

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