高楼方子ひさびさの新作長編小説。カバーの装画にひかれる。
中学生になった夏に、少年が緑に囲まれた古めかしい洋館でであったのは…
序盤はフィリパ・ピアス「トムは真夜中の庭で」を思い出させる展開。「思い出のマーニー」や「マリアンヌの夢」のような物語も思い出すが、主人公が自分をわりと客観視できているところがぞくぞくする。中盤からはミステリの色も濃くなり、ぐいぐい引き込まれてエピローグまで一気に読み終えた。筋立ても登場人物も、読むひとが自分でであってほしいのでここに書くわけにはいかないが、自分にとっては親近感を感じるいとしい人たちの物語、うつくしくやるせないファンタジーだった。夏の終りによむにふさわしく、物語が閉じる頃にはいろいろな想いで胸がいっぱいになった。
いつかピアスと読み比べてみたいし、梨木香歩「裏庭」あたりも再読したくなる。そして高楼方子さんのこれまでの作品も…(ブクログを始める前に読んだものが多いので、記録がないのがざんねんだけれど、高楼方子の新作なら読まないわけにいかないという直感はまちがっておらず、期待をこえる感激があったので、やはり再読しなければ…)
そうそう、河合隼雄が存命だったら、きっとおもしろがって読んだだろうなあ…
そして、本好きさんならきっと愛するであろうこのお話、いつかアニメ映画化される予感あり。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵本・児童書
- 感想投稿日 : 2021年9月15日
- 読了日 : 2021年9月17日
- 本棚登録日 : 2021年9月15日
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