週刊誌連載時に大半を読んでいましたが、改めて全体
を通して読みたくなり、文庫本で入手。
悪意に満ち溢れた物語。
自己顕示欲だらけの、むきだしの物語。
文字通り「グロテスク」な物語。
ところが人は自分の醜い部分を敢えて物語で読みたく
なる。
桐野作品の常として、登場人物たちがどんどん肥大して
読者を置いていく。視点を次々と変えて「真実」がわか
らなくなる。
でも、真実は一つか?誰もが単純な人格か?
そんな物語を、楽しみとして人は欲するか?
桐野夏生は、つまり、いつも読者の期待に忠実なのだと思う。
徹底的に「悪意」を綴りながらもその果てになぜか
爽快感すら与えてくれる。なぜなら出てくる女性たち
がとことん戦って「勝つ」からだ。
通勤の片手間に読めるような本ではなく、秋の夜長に
こちらも戦う感覚で向き合うべき本。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年3月3日
- 読了日 : 2011年11月30日
- 本棚登録日 : 2015年3月3日
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