グロテスク

著者 :
  • 文藝春秋 (2003年6月27日発売)
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本棚登録 : 2437
感想 : 369
5

週刊誌連載時に大半を読んでいましたが、改めて全体
を通して読みたくなり、文庫本で入手。

悪意に満ち溢れた物語。
自己顕示欲だらけの、むきだしの物語。
文字通り「グロテスク」な物語。

ところが人は自分の醜い部分を敢えて物語で読みたく
なる。

桐野作品の常として、登場人物たちがどんどん肥大して
読者を置いていく。視点を次々と変えて「真実」がわか
らなくなる。
でも、真実は一つか?誰もが単純な人格か?
そんな物語を、楽しみとして人は欲するか?
桐野夏生は、つまり、いつも読者の期待に忠実なのだと思う。

徹底的に「悪意」を綴りながらもその果てになぜか
爽快感すら与えてくれる。なぜなら出てくる女性たち
がとことん戦って「勝つ」からだ。

通勤の片手間に読めるような本ではなく、秋の夜長に
こちらも戦う感覚で向き合うべき本。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年3月3日
読了日 : 2011年11月30日
本棚登録日 : 2015年3月3日

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