姑の遺品整理は、迷惑です

著者 :
  • 双葉社 (2019年2月20日発売)
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姑が亡くなり、働く一人っ子の夫に代わり遺品整理をする主人公の望登子。
パートの時間を削り、都心を横断する片道1時間半の移動、エレベーターが無い団地の4階。
「安物買いの銭失い」だった姑の3DKの部屋は、ずっと昔に亡くなった舅のスーツ、着なくなった洋服、古紙、空き箱、未使用の食器、レトルト食品などなど、物が溢れていて途方にくれる。
実母は正反対のタイプで、上質な物を好み、物持ちも少なく、自ら身辺整理をして亡くなったため、望登子は一向に減らない遺品、膨大な粗大ごみを前に、姑への苛立ちを募らせていく。
そんなとき、団地の隣人、自治会仲間が親切に手伝いを申し出てくれ、生前の姑とのエピソードを聞くにつれ、姑の生前の暮らしぶりを初めて知ることになる。
今度は逆に少なすぎる実母の遺品に寂しさを感じ始め、実母の生活や思い出に想いを馳せる。
姑と実母、タイプが違い、どちらが正しいというのは無く、それぞれがそれぞれの信じる価値観、信念で生きていたことをまざまざと感じる。

高齢の夫の両親、物が多い実家を想像して他人事では無くぞっとした。業者に頼んで思い出の品もまとめて処分してしまうような遺品整理にしないためにも今から少しずつ断捨離をさせなくては!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2019年12月5日
読了日 : 2019年12月3日
本棚登録日 : 2019年11月29日

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