シルバー・レイクの岸辺で―インガルス一家の物語〈4〉 (世界傑作童話シリーズ)

  • 福音館書店 (1973年7月15日発売)
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冒頭で、メアリーはしょうこう熱で失明したという説明がある(家族全員しょうこう熱にかかったとのこと)。末の妹グレイスが生まれて四人姉妹になってる。
ジャックが死ぬ場面では大泣きしてしまった(これまでの作品でジャックがどんなにいい犬か、わたしもよく知っているからね)。

とうさんは鉄道敷設の仕事を得て、サウス・ダコタへ行き、一家は仕事場を点々と移り住み、工夫たちが去った誰もいないシルバー・レイクでひと冬を過ごす。

オルデン牧師が教会を建てる準備をするためにやってきて、メアリイに盲学校(大学)の存在を教える。そうか、オルデン牧師からこの素晴らしい情報を得るのだね。
「神は愛する者をこそ試したもう、ということを忘れてはなりません。そして、勇気ある精神は、あらうる苦難を、かえって善きこととするということも。あなたがたが知っておられるかどうかわかりませんが、盲目者のための大学が何校かありますよ」(p.293-294)

春にようやく払い下げ農地を手に入れ、一家にも落ち着いて暮らせる家ができる。
この土地申請をするのにとうさんは熾烈な競争に勝ち抜かなければならなかった。生きることは戦いだなと改めて思う。
「なに、人生はすべて、多かれ少なかれ、みんな賭さ、キャロライン。死ぬことと税金以外、まちがいなくくるものは、ありゃしないよ」(p.321)と、とうさんが言う通りだと思うのです。

後半、とうさんがバイオリンを弾き、家族みんなで歌う場面が多くなる。
苦しいときも、悲しいときも、うれしいときも、音楽とともにあるんだな。

「音楽がほしいな、ローラ」(p.355)
と、とうさんがいうと、ローラはバイオリンをとりにいく。
「音楽がほしいな」というとき、今のわたしたちみたいに「音楽をかける」のではないのだ、とハッとした場面。
それは、みずから音楽を奏でること、歌うことにほかならないんだな。

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感想投稿日 : 2012年1月2日
本棚登録日 : 2012年1月2日

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