第一次安倍政権下で日中歴史共同研究に携わった日本側メンバーによる、その後の追加研究を含めた成果報告。
1920年台終わりの張作霖事件から終戦後の収束まで、日中戦争の歴史をコンパクトに理解するためには非常に良い本だった。
度々指摘をされることだが、関東軍が独自に展開した様々な衝突を追認する形での開戦という、意思決定の根拠・目的意識の薄弱さや、その後の戦線の拡大に至るプロセスにおける陸軍、関東軍、政府の間の意思疎通や議論の不足といったことが、最終的にはこれ程の被害を国際的にもたらしたということは、深く認識をすべきことだと思った。
また、本書を読んで、中国側も国民党政府、共産党政府、旧清朝勢力がそれぞれの動きをする中で、対日和平交渉の当事者が明確にならなかったことも、この戦争がずるずると拡大をしていった背景になっているようにも感じた。
日中の共同研究報告書を完全な形で発行することができずに終了したようだが、このような形でその成果の一部でも残されていくことは、大切なことだと思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2020年3月21日
- 読了日 : 2020年3月21日
- 本棚登録日 : 2020年3月10日
みんなの感想をみる