法華経は、まとめられた時期が比較的遅かったために、仏教の教えが成立していくまでの過程が豊かに振り返られているように感じる。
大乗仏教が、仏教がもともと持っていた「日々生きていく中でいかに苦しみや困難を解決していくか」といった視点を改めて取り戻す動きだったということも、その経緯を含めてこの本を読んで改めて理解することが出来た。
仏性というものが全ての人に備わっており、それをいかに自覚するのかということが釈迦の教えの根本にあるという法華経の考え方も、原典に当たりながら詳しく解説されている。
また、法華経の各章(品)に沿って、それぞれの内容を解説するだけでなく、植木氏と橋爪氏の感じたことを語り合うことによって、それぞれの品が現代の社会や仏教を理解するうえでどのように位置づけられるのかを考えさせられる。
仏教の女性に対する考え方や、教団という組織をつくることに対するスタンスが時代とともにどのように変化していったのかといったことも、原典とその後に中国などに伝えられていった訳本を比較したりすることによって見えてくるのが、非常に興味深かった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2018年10月7日
- 読了日 : 2018年8月29日
- 本棚登録日 : 2018年8月15日
みんなの感想をみる