福知山線5418M 一両目の真実

著者 :
  • エクスナレッジ (2006年11月21日発売)
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感想 : 7
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気がついたら、自分の体に接している人が皆亡くなっていた。電車の中にいるのか外にいるのかもわからず、5時間も身動きがとれず…
前半の事故直後の描写は、語り口こそ冷静だけど、ヘリからの映像とは違う情景、大怪我による体の痛みを生々しく想像させる。
思えばこの事故が起きたとき私は高校生で、電車通学だった。一両目に乗るのが怖くなったし、「あれ?電車のスピードが早い…?」なんて1人ぞわっとしたことが何度もあった。
それほど、身近に感じた大事故だったのだと思う。
後半は主に、著者自身による事故の分析、改善案などが、冷静に語られている。大怪我を負い、心身へのダメージはものすごいものだったと思うけど、これだけ冷静に執筆されているのがすごいと感じた。著者がマスコミ関係の職業であり、鉄道ファンでもあるからなのかもしれないが…それにしても。
JR西の事故対策を見守っていくのが自分の役割、という著者の言葉が何度も出てくる。たしかクローズアップ現代で、JR西と被害者、犠牲者遺族が合同で事故対策を行ってきたしくみが紹介されていたのを思い出した。
彼らの、JRを叩くだけでなく、二度と悲劇が起きないために粘り強く活動される強い意志、その裏にあるであろう行き場のない悔しさを思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年6月5日
読了日 : 2015年6月5日
本棚登録日 : 2015年4月20日

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