旬の読書である。まぁ、今読まなきゃ読む機会もなくなるんだろうけど。
たまには時流に乗ってみる。笑。
金正男は言わずと知れた亡き北の将軍様の長男である。記者である著者が
北京空港で偶然見掛けた正男氏に名刺を渡したことから、メールでの交流を
経て、インタビューの機会を得る。
副題に「独占告白」とあるが、要は取材ノートを公開したようなものか。
以前、テレビ・ニュースで短いやり取りを見た限りでは聡明そうな印象を
受けた正男氏だが、この印象は本書を読んでも変わらなかったな。
海外への9年間の留学経験が彼の思想や人格形成に大きな影響を与えた
のだろう。報道から知る北朝鮮の人々とは、内に抱えているものが違うよう
に感じた。
「私は北朝鮮が「軍優先政治」をしようが、そんな政治をしようがかまわないが、
住民たちを少しだけでいいので、よく食べられる生活をさせてほしいという希望
だけです。
平壌でも感じたことですが、海外で北朝鮮住民たちの消息を聞いたり実状に
接する時、本当に心が痛いです。個人的見解ですが、私は北朝鮮に父親と
後継者を補助する幹部の中に、北朝鮮住民たちの民生に心より心配する
人がどれだけいるか考えてみました。遺憾ながら現実を見る時、そんなに
多くないようです。」
また、北朝鮮の経済政策についてもひどくまっとうなことを語っている。そして、
父である将軍様に中国ような開放政策を取ることを進言したとか。まぁ、これが
彼が後継者から外されるきっかけになったのだろうけど。
現在、中国を拠点にしている正男氏は北朝鮮の後見人・中国の切り札なの
だろうか。尚、後継者である弟には会ったことがないらしい。これって、それ
ぞれの取り巻きの権力抗争が原因なのかね。
正男氏の母親は、将軍様の愛情が他の女性に移ってから心を病んで
療養先のモスクワで死去している。「親孝行したかった」という言葉は、
彼も人の子なんだぁと感じて、ちょっと哀しくなったよ。
- 感想投稿日 : 2012年2月7日
- 読了日 : 2012年2月7日
- 本棚登録日 : 2012年2月7日
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