武王の門(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1993年8月31日発売)
4.01
  • (61)
  • (43)
  • (51)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 561
感想 : 46
4

世にも珍しい南北朝もの、しかも九州南朝ってマニアックな題材をブラッディドール(←大好き♬)シリーズの北方謙三が歴史小説に。
今となっては中華物をはじめ歴史小説多数の北方先生ですが、これがたぶん初の歴史物ではなかろうかと?

北方南北朝シリーズでは破軍の星の評価が高いようですが、個人的に本作が1番のお気に入り。
美しい敗北や敗れて倒れぬ男の美学を描かせたら本朝無双なハードボイルド作家が持てる筆力全開で謳い上げる、時代と対峙して見果てぬ夢を追い現実の泥沼で足掻き血の宿命と格闘する者達の刹那の栄光と悪戦苦闘の日々。
積み上げては崩れゆく九州独立の夢、東シナ海国家の幻想が男たちの興亡に彩りを添える。
夢の果てが極まる場所で男達は何を見るのか!

網野善彦の異形の王権論とかを大胆に取り入れた野心的な意欲作です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月27日
読了日 : 2022年3月27日
本棚登録日 : 2022年3月27日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする