会計の時代だ: 会計と会計士との歴史 (ちくま新書 634)

著者 :
  • 筑摩書房 (2006年12月1日発売)
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感想 : 16
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近年、ビジネス教養のひとつとして脚光を浴びている会計学だが、これを勉強しようと思うと、
その退屈さに音をあげたくなる。
けれども、その「歴史」を追ってみると、ひょっとしておもしろく会計を学べるかもしれない。
「複式簿記」「期間計算」「発生主義」など会計学の重要概念誕生の経緯から、
「会計士」がどんな仕事をこなし、どんな社会的地位を占めてきたのかまでを辿り、会計だけでなく、株式会社や資本主義社会の問題を考え直すにも格好のテキスト。会計の勉強がイヤになった人もどうぞ。

本書は「会計の歴史(2〜5章)」と「会計監査の歴史(1、6、7章)」で構成されている。

第4章では企業形体(の近代化プロセス、
すなわち株式会社の形成プロセスが、ギルドから合本会社、東インド会社の成立[1602年]、
南海バブルの崩潰、産業革命以降の企業形体の発展が論じられている。

第6章「会計プロフェッション」では
この職業が初めて登場したのはスコットランドで1854年のこと(エディンバラ会計士協会)、
続いてイングランドに登場した。
初期の仕事は、破産関係業務で、後に監査業務が加わったことが指摘されている。

第7章「近代会計制度の成立」では、
監査の仕事が会計士の仕事の中枢となっていく過程が解明されている。
本書は冒頭で、会計とは何か(「accountは説明」の意味)から始まって、
財産の管理との関わりで委託、
受託の概念がキーワードとして示され、
監査の重要性、会計プロフェッションが登場する必然性、
複式簿記の意味(資本と利益とを対象として体系的に行われる記録ないしそのジステム)などが解説され、
以後、会計の歴史
(15世紀イタリア[複式簿記]→16,17世紀ネーデルランド[期間計算]→18,19世紀イギリス[発生主義])を
たどるという構成をとっている。
著者によれば、近代会計制度は機能面と構造面とから捉えることができるとのこと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 会計
感想投稿日 : 2015年4月30日
読了日 : 2013年7月3日
本棚登録日 : 2013年8月3日

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