二巻より一年後。
家光こと千恵と、お万こと有功は、お互いに愛し合い、居場所を手に入れる。
千恵の癇癪も少しずつ減り、「将軍」として政治に参画するようになる。
しかし、有功と千恵には子供ができなかった。春日局は新たな陰謀をめぐらす。
春日は、町に出て行き、捨蔵(すてぞう)という若者を発見する。
捨蔵は有功そっくりで、これならと春日は捨蔵に大奥にこないかと誘う。
ある日、春日に呼ばれた有功は、千恵に捨蔵を側室に迎えるよう言ってくれといわれる。
拒否する有功だが、「戦のない平和な世のために」と春日に説得されてしまう。
有功は千恵にしかたなく捨蔵を薦め、捨蔵は千恵の側室になることに。
有功は、気が狂いそうになるが、かろうじて正気を保ち、捨蔵にも優しく接していくのだった。
しかし、捨蔵との子を千恵が懐妊。そして女児を出産し、捨蔵には「お楽」という名を与える。
子を持ったことによって千恵はもっと将軍らしくなってゆく。
捨蔵はその後、調子に乗って足を滑らせ、首を怪我して半身不随になってしまった。
有功と千恵は春日に与えられたつかの間の逢瀬に溺れる。だが二人の間に子供はできなかった。
春日は溝口左京(みぞぐちさきょう:お夏)という浅黒男(←なにそれ。) を捨蔵のかわりに千恵の側室として上げるよう有功にいうのだった。有功は春日に対して何も言わなかった。
そのかわり有功は玉栄も千恵の側室として差し出すことにする。
そのころ幕府内では、女性を男の代わりに大名の跡継ぎにしてもいいじゃないか論が多数を占めてくる。春日局は反対するが、重臣の誰も言うことを聞かず、呆然となる。
そのショックからか、春日は病気になってしまう。
また、「薬断ち(本物家光が天然痘になったときの回復祈願のときの誓い)」を守っていたため、病状はすぐに重くなっていった。懸命に看病する有功。
そこに、思わぬ知らせが届く。捨蔵が赤面疱瘡にかかったというのだ。
有功は捨蔵を春日のすぐ隣の部屋に移動させ、自分で二人を看病する。
みるにみかねた大奥の他の男たちが助けを申し出るが、それは捨蔵が死んだ後のことだった。この年はついに男子は女子の五分の一まで人口がおちこんでいた。
それから間もなく、稀代の女傑、春日局は千恵と有功らに見守られてこの世を去った。
有功は春日に「大奥を頼む」と遺言され、その言葉通り着実に大奥の制度を作っていった。
千恵は、大名たちに自分の存在を公表し、ここに初の女将軍が誕生する。
- 感想投稿日 : 2015年12月28日
- 読了日 : 2013年8月8日
- 本棚登録日 : 2013年8月8日
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