花鳥の夢 (文春文庫 や 38-6)

著者 :
  • 文藝春秋 (2015年3月10日発売)
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本棚登録 : 270
感想 : 28
4

一気読み。
永徳が描くことを止められないように、その勢いに巻き込まれる感じで止められなくなった。
思い描いていた永徳像を裏切らない。
気力を尽くして描き、生きるその様が、とても苦しく悲しく、とにかく疲れた。

才を持って生まれてしまった人の業。ただただ壮絶。

これだけ身を削らなければならなかったのか。
そうでなくては描けなかったのだろう圧倒的な画。
そうまでして作り上げたものの悉くが、灰燼に帰してしまうその運命はあまりにも悲しすぎる。
時代とは言えもっと、後世に残っても良かっただろうに。見たかった。

等伯夫妻の登場でより深く、暗く、画業に囚われていく心理が鬼気迫る。
何度も打ちのめされ、それでも屹立する強さは、もう異常。
最期の最後まで画の苦しみと喜びに夢を見る。

読み終えても満足はできない。心が締め付けられる。
でも、これも一種の感動なのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史小説
感想投稿日 : 2015年12月23日
読了日 : 2015年12月23日
本棚登録日 : 2015年12月23日

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