エリツィン体制末期から始まる、プーチン体制下のロシア政治史。選書だが、ロシア研究の大家だけあって記述が細かく、かつ脇道にそれては戻るの繰り返しなので、既に知識があって読み込みたい人により適していると思う。
エリツィン時代の後、国家統治の安定と回復を期待されて発足したプーチン政権。1期目ではオリガルフとの一連の闘いを経て権力を握り、2期目で更なる「垂直的統制」の強化。メドヴェージェフとのタンデム体制下では現代化派と安定化装置として分業するが、米露関係悪化などにより不透明に。2012年からの「プーチンII」では「保守的理念」の体現者へ。そして2014年のウクライナ危機を経て、長期政権構想や欧米への非妥協的姿勢が浮かび上がる。一方で「プーチン・コンセンサス」と呼ばれる高い支持率を得る。このようなプーチンの政治思想は「伝統的ともいえる保守主義」。そして著者は、2018年以降の課題として、憲法改正を中心とする政治改革の行方、経済、欧米との関係や東方シフトという外交を挙げる。
また著者は総括的に、現在のプーチン政権を生み出す対外的なきっかけはNATO東方拡大、対内的な理由はオリガルフへの国民的な反発だったとしている。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ロシア・旧ソ連
- 感想投稿日 : 2020年11月7日
- 読了日 : 2020年11月7日
- 本棚登録日 : 2020年11月7日
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