子を持つ親が中学受験をどう捉えるべきか、どういう親子が中学受験を活用すべきか、どのように活用すべきか、活用しない場合は何に気をつけるべきか・・・といった誰もが持つ疑問に丁寧に答えてくれている中学受験の指南書である。
本書は、実際に中学受験を目指す子供達に学ぶ場を提供する塾の経営者でもあり、先生でもある高濱正伸氏によって書かれている。知る人ぞ知る、花まる学習会の塾長だ。
「実際に現場で指揮をふるう先生によって書かれたモノ」・・・という事実が本書の1つの大きな特徴を生み出している。だから、父親・母親との接点を多く持つ現場経験者ならではの解説が目立つ。そして中学受験を考える父親・母親の精神状態を、お釈迦様が孫悟空を手のひらで転がしているかのように、手に取るように把握している印象だ。説得力がある。実際、わたしも二児の父親だが、普段のわたしの悪いところをしっかりと言い当てられた。また、触れるポイントが良い意味で細かい。「リビングには国語辞典をおいておいたほうがいい」とか、「夫を違う動物(犬)だと思って接した方がいい」とか、指導内容が具体的で、実践的?だ(笑)。
ところで、読んでいると頻繁に花まる学習会(もしくは同系列のスクールFC)という塾名が登場する。こうした事例が多いので、よもや塾の宣伝書か?などと一瞬勘ぐってしまいたくなる。だが、1人で食っていける子を育てる・・・という経営理念を掲げる塾を経営している人だけのことはある。読み進めると、”子供ために”というブレない軸がはっきりしているので、(仮に商売をみすえた本であるにしても)抵抗なく読み進めることができた。
その意味では、本書は実は中学受験の指南書というよりも、むしろ、遠くを見据えた”子育ての指南書”という表現がぴったりと当てはまるような気がすらしてくる。そんなわけで、中学受験を気にする気にしないに関係なく、子を持つ親は読んでおいて決して損はない本であるように思う。
書評全文はこちら↓
http://ryosuke-katsumata.blogspot.jp/2013/07/blog-post.html
- 感想投稿日 : 2013年7月7日
- 読了日 : 2013年7月7日
- 本棚登録日 : 2013年7月7日
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