富士山の単語帳

  • 世界文化社 (2013年7月4日発売)
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「日本人なら知っておきたい富士山のことわざ4つ」

世界遺産に登録された富士山。今、日本でいちばんアツい富士山に関することわざを4つお届けします。知っていると少しだけ鼻高々(かも)。

 * * *

■一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)
昔からのことわざで、夢に見るものの中でめでたい順番をさしています。とくに正月の初夢でこれらを見ると大変縁起が良いと言われてきました。

徳川家康が駿河国を代表する高いものを順にあげたものだという説があります。一番の富士山は日本最高峰の霊山、二番の鷹は、一般には鳥の王者としての鷲(わし)をさしますが、駿河で2番目に高く富士山の近くにある愛鷹山(あしたかやま)のことをさし、三番の茄子は駿河の三保で早出し栽培されており、傷(いた)みやすい野菜で初物の値段が高かったので三番にしたと言われていますが、別の説もあります。

江戸の駒込富士神社には、町火消により組織された最も古い富士講の一つがありました。この駒込富士神社の近くに鷹匠(たかじょう)屋敷があり、駒込茄子が名産物であったため、一富士二鷹三茄子のことわざが生まれたというものです。

■富士の山ほど願うて擂り鉢ほど叶う(ふじのやまほどねごうてすりばちほどかのう)
たくさんの望みや願いを拝んで叶えようとしてもなかなか思うようにいかないことを諭(さと)したことわざです。「棒ほど願うて針ほど叶う」と同意です(『俚言集覧』)。

■富士の山を蟻がせせる(ふじのやまをありがせせる)
小さなものが大きなことを企てるたとえを表すことわざです。「せせる」は、あちこちつつきまわす意味ですので、力量のない者が途方もないことを企てることへの諭(さと
)しのことわざでもあります。「大黒柱を蟻がせせる」と同意です(『俚言集覧』)。

■富士の山を張り抜く(ふじのやまをはりぬく)
日本一の富士山を張り子の型にして同じ大きさの張り子をつくることが不可能であることを諭したことわざで不可能なことのたとえです(『俚言集覧』)。

~『富士山の単語帳』(田部井淳子 監修/富士学会 企画/佐野充 編著)より抜粋

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2013年10~12月コラム
感想投稿日 : 2013年8月19日
読了日 : 2013年8月19日
本棚登録日 : 2013年8月19日

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