年齢は捨てなさい (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎 (2019年4月25日発売)
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本棚登録 : 138
感想 : 13

著者は、1936年5月生まれなので、現在は84歳。
この本を書かれた時は、82歳だったようです。

p186~187

 老人ホームは誰かから管理される場所です。いかに効率よくお金も人数もかけずに運営するかを考えると、高齢者一人ひとりに対応するひまなどありませんから、十把一絡げの管理にならざるを得ません。老人ホームでよく見る風景---いっせいに童謡などを歌わせる、体操させる、ぬり絵やお習字などのおけいこをさせる---。
 みんなで同じことをやるのが好きな人ならともかく、団体行動に全く馴染めない人だっています。つれあいの母は100歳まで生きましたが、食事以外、ホームの部屋から出ていくことはなく、部屋に閉じ込もらざるを得ませんでした。
 時折見舞いに行くと、まるでおんぶおばけのように背中に何かがのしかかってくるのを感じて異様に疲れました。のしかかってくるもの、それは管理されている老人達の「不自由さ」です。
 高齢者には一人ひとりの歴史があります。これまで積み上げてきたものを大切に出来ればいいのですが、実際はホーム側の都合で管理されている。そこへ入れば、いやおうなく年を意識させられ、20代や30代の職員達が、まるで幼子を扱うような丁寧語で話しかけてくる---。なぜ普通に話さないのでしょうか。気を遣っているつもりかもしれませんが、侮辱でしかない気がするのです。
 

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 2019年
感想投稿日 : 2020年12月12日
本棚登録日 : 2020年12月12日

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コメント 2件

nejidonさんのコメント
2020/12/13

seiyan36さん、おはようございます。
いつも楽しみにレビューを読ませていただいてます。
引用部分についてですが、この著者は少し表現がキツイですね。
私たち大人が「若い人」とひと括りするように、あちらも「お年寄り」とひと括りしている、それだけのことだと思います。
福祉を学ぶ段階で学習した接し方に乗っ取っているだけでしょう。
今は3世代同居の家族も少ないですし。
ひとりずつ固有の歴史と個性があるんだと学ぶためには、お年寄りが「自分はそういうのは好きじゃない」と声をあげれば良いだけです。
それで、あちらも学ぶのです。
きっと良い経験になると思いますよ。
長々とすみません。ちょうど身内にそういう者がおりましたので。
私がこれまで見た範囲では、著者の言われるような施設はひとつもなかったんですけどね。

seiyan36さんのコメント
2020/12/13

nejidonさん、コメントありがとうございます。
引用部分は、やはり手厳しく感じますが、多くの高齢者を預かっているので、団体行動になるのは仕方がないのかなとも思います。
私の場合、実母83歳、義母91歳が、いずれも一人暮らしをしており、近い将来は高齢者施設を利用することが選択肢の一つです。その後は、自分達もです。
引用部分には、高齢者施設を運営する側の視点が入っており、参考になったので、書き留めておきました。

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