〈身売り〉の日本史: 人身売買から年季奉公へ (歴史文化ライブラリー 341)

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  • 吉川弘文館 (2012年3月1日発売)
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チェック項目3箇所。マカオに来るポルトガル人は、みな真理を忘却する、それは一つには売買の欲のためであり、二つには女奴隷の故にである、日本より戻ってきたポルトガル人らは、この女奴隷のために罪に陥るのである、ポルトガル人がたまたま種子島にやってきてから13年後、すでに多数の日本人女性をポルトガル商人らが奴隷、おそらく妾として国外に連れ出していた状況を物語っている、こうしたポルトガル商人の奴隷貿易とイエズス会のキリスト教布教とは根底のところで一蓮托生であったが、布教の障害となると認識する司祭たちもいた、
彼らの要請にもとづき、1571年3月12日、ポルトガル国王ドン・セバスチャンはポルトガル人による日本人取り引きを禁止した、ところが、ポルトガル国王の勅令はまったく効果がなく、それどころか司祭のなかには、すすんで日本人の奴隷売買許可証を発行する者さえあったという。日本には「人売り買い」禁止という法的伝統があった、少なとも、秀吉はそのことを知っていた、しかし、しかるべき手続きを経た下人や子どもの売買を容認してきた日本社会のルールと、その「人売り買い」禁止令との間の矛盾をポルトガル人は見抜いていた、秀吉は人身売買禁止令など出していないのである、結局のところ、その後、宣教師の国外追放も徹底されることもなく、はたまた宣教師がポルトガル商人の日本人買い取りを禁止することもなく、むしろ黙認・承認されつづけることになる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2013年1月18日
読了日 : 2013年1月18日
本棚登録日 : 2013年1月18日

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