コロナ後の教育へ-オックスフォードからの提唱 (中公新書ラクレ, 708)

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  • 中央公論新社 (2020年12月8日発売)
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日本の教育政策は「○○というデータが上がっているので、××という方針が考えられる」という、
具体的なデータを基にして抽象的な方針を定める「帰納的思考」ではなく「予測不可能で不確実な時代において、主体的な個人の育成が必要」という「演繹的思考」によって舵が取られる。
しかし、エセ演繹型思考ではトップの目標が抽象的なため「主体性とは」「資質能力とは」「どんな授業で力がつくのか」「何を持って力がついたのか」といった教室レベルの具体的な場面に落とし込むことが難儀になる。したがって同じ言説がいつまでたっても繰り返される。
そもそも、「主体性」は今に始まった議論ではなく、1946年には戦前教育の反省としての「批判的精神」、1987年にはキャッチアップ型近代化以降の時代を見据えて「個性的で想像的な人材」と、何十年もずっと言われてきた話である。
抽象的な話で何も変わっていないのであれば、これからはむしろ具体的な過去の経験から、成功事例や失敗事例を踏まえる教育政策に転換してみてはどうか?

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感想投稿日 : 2023年6月5日
読了日 : 2021年3月16日
本棚登録日 : 2023年6月5日

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