ベルリン1919 赤い水兵(下) (岩波少年文庫)

  • 岩波書店 (2020年2月16日発売)
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「ベルリンは晴れているか」の作者深緑野分さん推薦の クラウス・コルドン 「ベルリン1919 赤い水平」は、第一次大戦で敗色濃厚となったドイツ帝国の1918年11月から19年のベルリンを舞台にした小説。
戦争に疲弊した状況を打破しようと水兵が蜂起し、ドイツ革命が起きる。しかし帝国の転覆と同時に主導権争いが起き、当初は優勢と思われていたドイツ共産党の前身スパルタクス団は劣勢に。そして帝政時に権力を握っていた政治家たちが力を取り戻し、ベルリンは激しあり市街戦へと突入していく。これは今から見ると敗戦国ドイツが混迷の中でナチスの台頭を許す、その一瞬前、それとは別の道を歩めたかもしれないベルリンの混沌を貧しい労働者の家庭に生まれたヘレ(ヘルムート・ゲープハルト)という少年の目線から描き出している。
岩波少年文庫で、「中学生以上」となっているが、いや、中学生がこれ読んでも理解はしきれないだろうと思う。でも、読み切ることができれば強い印象も持つだろう。そして、もっと後に読み返した時に印象を新たにするだろう、そんな作品。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(海外)
感想投稿日 : 2020年3月15日
読了日 : 2020年3月15日
本棚登録日 : 2020年3月7日

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