ソ連の作家ボリス・パステルナークが書いた大作『ドクトル・ジバゴ』。ソ連を舞台にした男女の恋愛物語でありながらも、ソ連という国の矛盾を描き、ソ連政府からは出版を許されず、ボリスやその愛人は監視され、時には投獄されるなどの迫害も受けていた。
この『ドクトル・ジバゴ』の原稿は秘密裏にイタリアの富豪フェルトリネッリの手に渡り、フェルトリネッリがイタリア語版を出版する事で世の中に知られるようになり、最終的には世界的ベストセラーとなってノーベル文学賞を受賞するまでになった。
一方でCIAは『ドクトル・ジバゴ』に注目し、ロシア語版を印刷、ブリュッセルで開かれた万国博覧会会場を訪れたソ連の人々に密かにこれを渡して本国に持ち帰らせることで、ソ連国民に自国の政治体制に対して不信感を抱かせるという作戦を行った。
こういった史実をもとに、パステルナークと彼に人生を捧げた愛人オリガや、CIAでタイピストや受付嬢という表の顔を持ちながら、スパイ活動にも協力し、功績を挙げながらも表舞台に出ることのなかった名もなき女性たちの活躍と、恋愛と、悲劇を描いた作品。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説(海外)
- 感想投稿日 : 2020年9月6日
- 読了日 : 2020年9月6日
- 本棚登録日 : 2020年8月31日
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